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朱屺瞻について

1892年に上海に隣接する太倉市で、代々商売を営む家系に生まれた朱屺瞻。8歳で母を亡くすと、9歳から父の勧めで私塾に通い、絵を習いはじめます。14歳のときには叔父の後押しもあり、宝山県（現在の上海市宝山区）の学校で絵画の才能をのばし、当時の上海誌「时报」にも度々、自作を投稿していたといわれています。その後、上海高等実業学校（上海交通大学の前身）に進学すると、著名な国学者である唐文治に師事。絵を描く際のコツである、「点画のさじ加減」について指導を受けました。

21歳で洋画に興味を持った屺瞻は、上海美術専門学校に入学。その翌年には、同校で教師を務めます。26歳のときに日本に留学し、川端美術学校で洋画家の藤島武二から油絵を学びます。また、ゴッホをはじめ、アンリ・マティスやポール・セザンヌといった作品に影響を受けたのもこの時期です。帰国後は、第1回蘇州美術画展覧会で油絵「風景」が入選するなど、洋画家として頭角を現していった20代でした。

30代以降は、芸術絵画研究所の共同設立を皮切りに、上海新華芸専の教授就任や新華芸専絵画研究所への出資、郷里での農村改善社の創設など、精力的に活動の幅を広げていった屺瞻。46歳のときには、美術教育を目的に再び日本を訪れています。50代以降も上海中国画院の絵師をはじめ、大英博物館やサンフランシスコ・アジア美術博物館での展覧会の盛況など、朱屺瞻の名を国内から世界に広めていきます。1991年には、100歳で中国共産党上海市文化局委員会に入党し、最高齢の新人党員として話題を集めました。それに伴い中国政府は、屺瞻の故郷である太倉の名所「梅花草堂」を再建。展示室、画室やレセプションルームなどに分かれた梅花草堂では、屺瞻が寄贈された作品と触れ合えます。