青木木米の買取価格は高額です

青木木米について

江戸時代後期に活躍した画家・陶工。京都の料理茶屋に生まれ、若い頃より文人画と京焼の陶芸を学びました。京焼の名工として知られた奥田頴川に師事して染付や青磁、南蛮写しなどの煎茶器を作り名を成し、やがて青蓮院宮の御用焼物師となって、十一代永樂善五郎保全、二代高橋道八・仁阿弥道八とともに京焼の名匠「幕末三名人」に数えられます。田能村竹田や頼山陽らとの交流を通じて教養を深め、画家としても南画の作品を多く残しました。

29歳のとき清朝の陶磁研究書『陶説』に出会ったことを機に本格的に作陶を志し、30歳で京都・粟田口に自らの窯を開き独立します。1807年には加賀藩前田家に招かれ、金沢の春日山窯で途絶えていた九谷焼の再興に尽力しました。この技術指導により古九谷の技法が甦り、九谷焼発展の大きな転換点となりました。陶芸作品は赤絵、染付、青磁など多岐にわたり、特に呉須（コバルト顔料）による赤絵細描で人物や仙人、唐子など中国趣味の図を描くのを得意としました。繊細な絵付けには文人ならではの感性と高い技術が発揮され、京焼に中国古陶の要素を取り入れた独自の作風を示しています。

画家としての代表作に、宇治の朝霧に煙る風景を淡い彩色と墨の濃淡で描いた《兎道朝暾図（うじちょうとんず）》があります。宇治川や平等院を爽やかな色調で描き、木米の風景画の代表作品と評価されています。晩年は窯焚きの熱音の中で耳を病みつつも創作を続け、その豊かな創意は陶芸と絵画の両面で後世に影響を与えました。特に九谷焼に吹き込んだ新風は大きく、木米風の意匠は現在でも多くの窯元に受け継がれています。

江戸期の京焼文化と文人画壇を結びつけた木米の功績は、美術史的にも異色であり、伝統工芸と絵画を融合したその芸術姿勢は後の時代にも新たな美の地平を開いたと言えるでしょう。